紺青Diary

国際政治とアメリカ留学

アメリカ大学院挑戦記(1)はじめに

 

こんにちは、体験記を書く書くと言い続けてましたが、想像を絶する怠惰さ、ルーズさによってここまで記事の公開が遅れてしまいました。楽しみにしてくれた方がいれば大変申し訳ありません。

 

これから私がアメリカの大学院に出願した際の記録を「アメリカ大学院挑戦記」と題して複数回に分けて記事にしようと考えています。

 

まず最初に題名についてなのですが、最後の部分を世間でよく聞く「合格体験記」ではなく「挑戦記」としたのには理由があり、合格した以上に大量に落ちているからです。私のアメリカのPhDへの挑戦はたくさん落ちた記憶が強い経験であり、厳しかったなあというのが正直な感想です。そんな感覚なので、題名を「合格体験記」とするにはあまりにも恐れ多いです。トップ校からバンバン合格をもらってどこに行こうか悩むレベルという華やかな体験記を読みたい方は、ここはあまり適切な場ではないかもしれません。凡人が泥臭くやって最後に奇跡的に合格を勝ち取った、そんな体験記になると思います。

 

また、私のブログより優れた体験記は多くあるので、そちらも併せて見ると良いかなと思います。例えば、オックスフォード大学博士課程に在学中の向山さんの「紅茶の味噌煮込み」や、(社会学になりますが)ブラウン大学のT.K.さんのUnder the Canopy、北テキサス大のMakitoさんの「Bridging the Gap!」があります。

一方で、この出願記が上記のブログとは異なる点(少なくとも差別化しようともがいている点)をいくつかあげておくと、まず、私の出願記は学部から直接PhDに出願した記録だということです。そのため、学部生ということはPhDに全落ちした場合に備えてマスターのプログラム(修士課程)も同時に狙うことが自然であり、結果として様々な戦略が変わってくる可能性があると考えます。さらには、私の体験記はwaitlist(繰り上げ合格の可能性がある人リスト)に載ってから、最終的に合格を頂いたものだということもあげられます。waitlistに載った後の対応などが記された出願記は少ないと思うため、その点でもバリューが出せたら良いなと考えています。

最初となるこの記事では、具体的な出願の話に移る前に私自身の情報(経歴とか大体のスコアなど)についてまとめておきます。前回の記事と重なる部分もありますが、この記事から読み進める人もいることを考えて再度書きます。

 

・経歴

2015年に一橋大学法学部に入学し、国際関係コースに進みました。2017−18年にはドイツ、ベルリンにあるフンボルト大学ベルリンに1年間留学をし、2020年の3月に卒業しました。そして2020年の秋からThe University of Texas αt Austin (通称UT Austin or UT) 、the Department of GovernmentのPhDプログラムに入学する予定です。

 

奨学金(コロナの影響で色々変わる可能性があります。とりあえず元々予定していた内容を書きておきます)

日本学生支援機構の海外留学奨学金(学位取得型)に内定しています。これは、毎月の生活費として11万8千円と、最高250万/ 年までの学費が支給される奨学金で、返還する必要のないものです。他にもいくつか奨学金を受けたのでそれについての記事もかけたら良いなと思います。

また、UT Austinからは学費免除と、3年目からのTA(Teaching Assistantの略)の代わりに毎月の生活費としてある程度のお金を受給させてもらえることになりました。そのため上記の奨学金と合わせると生活にはおそらく困らないのではと思います。特にTA業務が2年目から始まる大学も多い中、プラスで1年間TA業務がないのは非常にありがたいです。(というのも、PhDの2年目の終わりから3年目の初めにかけてコンプと呼ばれる非常に重要な試験があり、その準備とTA業務を両立させるのはかなり大変であると聞くからです。)大学側が私の英語力のなさを懸念してなのか、奨学金があることを考慮してなのかはわかりませんが、大変助かります。(とは言いつつもTAの経験はジョブマーケットに出た時などに見られると思うので、やっておくこと自体はプラスだと聞きます。)

読者の中には大学からお金をもらいながら勉強できることに驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、アメリカの博士課程ではごく普通の話で、逆にもらえないプログラムには行くべきでないとしばしば言われるくらいです。このような大学の太っ腹さがアメリカが優秀な研究者・院生を集める理由の一つではないかと感じます。

 

*12月16日追記

と、8月の時点では書いたのですが、少し自分の理解に不適切な点があったため訂正の意味も込めて追加で書きます。まず、JASSOからの奨学金がなかった場合において、UT AustinではTAは一年目から必須で、TAをやる代わりに授業料免除と毎月の生活費をもらえます。僕の場合、そのTAをやらない代わりに、授業料免除がなくなってJASSOの奨学金で肩代わりをすること、そして、毎月の生活費についてはJASSOでは奨学金が足らない分を学期毎にもらうという形になりました。両者の場合においてトータルとしてもらう金額はだいたい変わらないと思います。

 

 

・受験結果

もしPhDに合格しなかったら米国でマスター(修士課程)を経てから再度PhDに挑戦するつもりだったので、PhDだけでなくmasterコースもいくつか受けました。最終的にPhDは合計11校、マスターは3校(+1校)受けました。

結果、PhDについてはUT Austinからはwaitlistの後、合格。その他は全て不合格でした。(Ohio Stateからはスカイプ面談をして割と良い感触だったので期待していたのですがダメでした。また、UC San DiegoのPhDは不合格でしたが不合格通知の際にマスターへのお誘いを頂き、そこには合格できました。)

マスターについてはNew York University と先述のUCSDから合格を頂きました。残りの2校からは不合格でした。

この結果についてですが、満足をしています。元々の米国PhD入試の競争の激しさに加えて、海外からの応募かつ学部生ということで十中八九で全落ちするだろうと思ってましたし、結果を見るとマスターでさえ怪しい感じだったので、拾ってくれたUT Austinにはありがたさしかありません。

 

・スコアなど

なんだか恥ずかしいので詳細な数字は出しませんが、大体のレンジを晒そうと思います。これは後の記事でも書こうと思うのですが、日本の入試のように1点が合否を分けるということはあまりないのではないかと考えているので、これでも情報量としては十分なのではないでしょうか。ちなみにこれらの点数は非常に低く、自分でもなんで合格できたのか不思議でしょうがないくらいなので、目標という意味では参考にしない方がいいと思います。

TOEFL 100−105/ 120

GRE  Verval 145−150/ 170

    Math 165−170/ 170

    Writing  3.0-4.0/ 6.0

GPA       3.65/4.0 or 4.3 Scale (途中で制度変更があったため)

    (専門 3.9/4.0 or 4.3)

 

・スケジュール

 記憶を頼りに書いているので実は間違ってたなんてこともあるかもしれませんが、大まかなスケジュールは以下の通りです。(GREやSOPなどの説明は後の記事でします。)注意して欲しいのは、これはあくまで私が何をどの時期に実際に行ったのかという記録であり、当初から予定しておくべき理想のスケジュールとはほど遠いということです。TOEFLは本来春までにとっておくべきものですし、SOPを書き始めるのは本当に遅すぎます。もっと余裕を持って望みたかったのですが、自分の怠惰さ、能力不足でこんなことになりました。私と同じギリギリ族の方には、当初の予定は遅れる運命にあることを肝に銘じ、早め早めの準備をすることをお勧めします。

 

  スコア 奨学金 入試手続き等
2019年1月 TOEFL対策    アメリカ大学院受験を決意する
2月      
3月 TOEFL1回目    
4月      
5月 TOEFL2回目    
6月      
7月 TOEFL3回目  推薦状のお願い 推薦状のお願い①、②
8月  GRE対策 村田、伊藤国際  
9月 TOEFL4回目, GRE1回目  
10月 GRE2回目 平和中島、JASSO 推薦状のお願い③、  出願校の選定
11月   ロータリー財団 SOP書き始め、writing sample準備
12月     申請開始
2020年1月      
2月     結果出始める
3月      
4月     waitlist繰り上げ連絡

 

とりあえずこんな感じですかね。

 

最後に付け加えておくべきだと思うのは、この記事はある種の生存者バイアスがかかっている可能性が大きいということです。例えば、私が自身の経験から「〜が合格には大事だった」と感じていたとしても、それが本当に正しかったのかわかりませんし、仮にそれが(私の場合には)正しかったとしても他の人にも当てはまるのか、といったことはわかりません。このようなことをなんとなくでも検証するには、不合格者の体験記も含めたより多くのサンプルが必要だと思いますが、十分な数の体験記を私は知りませんし、また一般に不合格になった人の体験記は世に出ない傾向にあることに鑑みても、ある程度信頼のおける分析を(少なくともブログ内でカジュアルに)やるのはなかなか難しのではないかと感じています。

したがって、admission committee 側の細かい情報を知らない我々にできるのは各人が出来るだけ情報を集めて、真偽がよくわからない推論に身を預けることしかないのではないかなと思います。まあここまでごちゃごちゃいってきましたが、要はあんまり信用しすぎないで、ということです。

 

今回はこれくらいにしておきます。次回は、 アメリカの大学院に進学した理由について書こうと思います。

それでは。