紺青Diary

国際政治とアメリカ留学

2021年秋学期

新年あけましておめでとうございます。

お久しぶりです。

 

2022年春学期が始まりそうなので(もう始まってしまった)、その前に2021年秋学期と冬休みについてメモがてらまとめておきます。

 

まず研究の方から

 

ステータス関連の共著論文が完成したのでジャーナルに投げています。現在、2つにレジェクトされていて、現在3つ目のジャーナルに挑戦中です。ジャーナルに投稿するのもレビューコメントを貰うのも、そしてレジェクトされるのも初めての経験で、新鮮な気持ちでいます。こんなこと言ったら共著者に怒られるかもしれませんが個人的にはそんなに期待値が高い訳ではないので(どんなにすごい人でも最初からトップジャーナルに乗ってることは少ない気がする)、レジェクトされてもそんなに落ち込まずに、次、次という感じでいます。

 

安保理論文については、この冬休みをつかって分析中です。これまでのコードにミスが発見されて結果が変わってしまったり、新しいトピックモデルを試したり、データを追加していたりするので、思ったより時間がかかってしまっています。今の所、思った結果が微妙な感じでしか出ず、あまりきれいではないので、どうしようという感じです。なんとかなると思ってがんばります。

同盟の負担交渉論文については、とりあえず授業のタームペーパーでいい感じにモデルを組み立てて面白い均衡を見つけることができたのですが、指導教官からはそこまで刺さる感じではなかったようなので、関連文献をもう少し読むのとどう改善するかなと考えていたら、冬休みが終わりそうです。国内政治のモデルを組み込んでもいいのですが複雑な割には面白い結果がでるかわからないので、これもうーんと悩んでます。

 

この他に現在進行中の共著が1つ、アイディアが出ていて共著しようとしている段階なのが2つあります。次の学期も忙しくなりそうですが、共著の方はそこまで意識しなくてもペースができてくるので特に単著の方を早く完成させるという気持ちでいます。これまでの経験上、そうしないと単著の方だけどんどん遅れていってしまうので笑

 

次に授業です。

先学期は4つ取っていました。1つはゲーム論IIです。この授業は先学期のゲーム論の続きで、繰り返しゲームや、マルコフ完全均衡、Cheap Talkなどについて学んで来ました。受講人数は5人でした。ここまで来ると適切な教科書がないためか、毎回論文が指定されそこで使われている手法を学ぶという感じでした。ほぼ毎週problem setが課され、それをクラスメイトと一緒にあーでもないこーでもないと言いながら解いてたのは楽しかったです。また、論文で実際に使われている手法を学ぶのでモチベーションも高く保てました。final paper は同盟の負担交渉について書きました。個人的にまだきちんと理解できてない単元があるので、そこらへんを復習したいなと思っていたのに気づいたら次の学期に入ってしまっていて、早く復習するべきだったと後悔しています。

 

2つ目はInternational Organizationです。この授業はそのまま、国際組織に関して学ぶセミナー形式の授業で、とても面白かったです。受講人数は9人くらいでした。コヘインから始まって、テーマごとに毎週4本か、本1冊と論文2本くらいを読んでました。扱った対象としては、IMFWTO世界銀行から環境条約、人権条約、投資協定まで多岐に及んでました。余談ですが、このクラスの課題3回のうち2回でクラス最高点を出したのでここに記念として書いておきます笑。

サブスタンツの授業はメソッドと比べてそんなに役立たないと言われがちではありますが、論文を書くときに自分の研究を大きなリテラチャーのどこに位置づけるのかや、理論のアイディアをどこから借りてくるのかといった問題に対応しやすくなるのは良い点だと思います。最近聞いて納得したのは、最近はメソッドの教育が発展してきてみんな良いメソッドを使えるようになったからこそ、理論の重要性が増しているということです。IRに特有なのかもしれませんが、なかなか良い自然実験が見つけられないため厳密な因果推論は難しいし、見つかったとしてもあまり面白い発見でないとトップジャーナルは難しいなかで、重要な問いに対し面白い理論+普通の統計(もしかすると記述統計だけでも?)で他と差別化を図るのはあり得る戦略だと思います(例としてはAltoman 2020など、他にもIOには理論メインの論文がたくさん載っています)。もちろん、さらなるメソッドの発展を追求していく方向性も十分アリだと思いますが、個人的には、IRの研究者として生きるためにはメソッドの最先端をある程度抑えるのはもはや当たり前で、そこから理論的に何ができるかが勝負の分かれ目だと思うようになりました。

 

3つめは統計IIIで、これは主にMLE を扱いました。受講人数は10人くらいです。思ったより理論的なことを扱い、またR はほとんど使わず、Mathematicaを使って計算したりしました。理論的すぎるためか他の学生からは割と不評でしたが、個人的には面白かったです。ただ、もう少し応用部分があれば嬉しかったのは間違いないです。あまりに不評過ぎたため、この先生が次の学期に教えるマルチレベル・パネルデータ分析の授業を他の学部(社会学部)で取ろうとする人が続出してました。フィードバックは他の先生よりも丁寧だったため、私はたまに研究の相談に相談に行ってました。

 

4つ目は英語の発音の授業で、これはTAのテストで条件付き合格だったため受けることにしました。本当は受講する必要はなかったのですが、せっかくの英語を向上させる良いチャンスかなと思って受講しました。先生がフレンドリーでかつフィードバックが本当に丁寧でしたし、これまで長年英語を勉強してきたのに知らないことがたくさんあってこの授業は本当に取ってよかったです。R Lの発音をきちんとするところから始まり、シュワサウンドや、文の中でどこを強調しどこを強調しないのかを学びました。その後に受けたTAテストは無事合格しました。これでいつでもTAとして働けます。

 

次の学期に取る授業は、Political Violence, Research in International Politics, ベイズ統計です。Political Violenceは国内暴力を扱い、内戦や抑圧などを扱う予定です。ちょっと読む量が多そうなので今から憂鬱です笑。Research in International Politicsは少し特殊な授業で、各々でペーパーを書いてそれを評価し合ったりIRの先生からコメントをもらうライティングの授業です。おそらく、授業のタームペーパーからパブリケーションまでギャップがるので、それを埋めるために用意された授業だと思います。ベイズ統計は、政治学部ではなく統計学部で開講される授業で、そのままベイズ統計(階層モデルなど)をやります。

 

 

この冬休みの間、研究の他にはサンアントニオに車で観光に行ったり、片道2時間運転してテキサスA&Mで政治学博士課程をしていらっしゃる方に会いに行ったりしていました。テキサスの大地を車運転するのは割と楽しいです。

 

急いで書いたので駄文で申し訳ありません。

それではまた〜

 

参考文献

Altman, D. (2020). The Evolution of Territorial Conquest After 1945 and the Limits of the Territorial Integrity Norm. International Organization, 74(3), 490-522. doi:10.1017/S0020818320000119